AQLの説明に入る前に、まずは「品質管理」の概念の本質について説明させていただきます。
「品質管理(Quality Control=QC)」とは、企業が行う活動体系のひとつで、自社の販売商品やサービスの品質を向上させたり、製品を生産する過程において合理的に行うための手段や手法を検討したりすることを意味します。QCは、現在は主に製造現場での取り組みという意味合いが強く、工場の品質管理手法などを指すといっていいでしょう。
品質管理(QC)の考え方を発展させ、製造部門以外の部門(企画・設計・営業・管理・顧客サービス・マーケティング部門など)まで広げ全社的な活動となる場合を、「全社的品質管理(Company-Wide Quality Control=CWQC)または「総合的品質管理(Total Quality Control=TQC)」と呼んでいます。CWQCまたはTQCは、製品の企画や設計から製造・販売・顧客へのアフターサービスにいたるまで、企業の生産活動全体において品質管理を行うことを目的にしています。経営者から作業員まで、一部門だけでなく関わる全員が品質管理に取り組む点も、QCとは大きく異なる点ですね。このTQCが発展したものを、「総合的品質経営(Total Quality Management=TQM)」といいます。
TQMは、経営者側の意思決定により全社的に品質管理が展開されるトップダウン型のTQCで、企業の経営戦略を製品目標や販売目標、顧客満足度目標まで落とし込み、品質マネジメントを行います。現在はマネジメントという考え方が浸透したことにより、「品質管理」という概念は、このTQMへと切り替わってきています。