スポンサード リンク

AQLの計算と設定方法~その2

前回に引き続き、製品の品質管理の際、AQLの計算と設定をどう判断すべきかについて解説させていただきます。

●合格ロット内の不適合品によって起こりうる損害と、ロットが不合格となる場合の損害が、等しくなるような品質を損益分岐点から推定し、AQLを設定する。

AQLは、あくまでも「工程平均において合否を判断する基準値」ですので、それが全ての製品の品質を保証するものではありません。しかしながら、消費者は、基本的に抜取り検査が行われた製品は良品であると仮定して入手します。とはいえ、実際は合格ロットの中にも不適合品は存在しますし、逆に不合格としたロットでも、実際は合格レベルであるという場合もあります。AQLの設定が工程平均と大きくずれてしまえば、生産コストが上がったり、製品の品質が低下したりしてしまいますので、バランスをとることが重要です。製品の品質が良ければAQLは小さく設定できますし、検査のコストは低減します。

また、抜取り検査において、最初に必ずAQLを設定しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。先に抜取り検査表で抜き取り検査方式を選び、望む結果を得られるようなAQLを導きだすという手順でもかまいません。肝心なのは、諸々の要素を十分考慮し検証したり計算することによって、「その製品にとっての適切な品質とAQL」を見つけ出すことなのです。

そうした手順をたどることにより、適切な品質管理が可能となるわけです。不適切なAQLの設定により、後から「検査のための検査」が増え検査コストがかさむ、といった事態が生じることは、何としても避けるべきでしょう。

プロフィール

品質管理と品質保証に関する情報収集&分析をおこなっています。